笑顔でつながる家族の輪(fam[ファム] 2023年冬号)

櫻田ファミリー

photo/出張こども写真「ハートグラフ」

家族の輪

子どもが生まれて芽生えた想い。
地域や子ども達の未来のために
今できることからやっていく。

20代で家業を継いだパパと共に、若手生産者チームや
JA新いわて野菜応援隊のメンバーとしてPR活動も行うママ。
新しい環境にも臆することなく飛び込む情熱の源を聞いた。

家族のプロフィール

パパ:櫻田大河(さくらだたいが)さん・29歳・雫石市出身・(株)さくらだファーム代表取締役。
ママ:沙羅(さら)さん・29歳・秋田県仙北市出身・同社専務取締役。長男5歳、次男3歳、大河さんの両親、祖父母の8人家族。

大河さんは高校卒業後、実家の農家に9代目として就農。沙羅さんは福島で夜間短大に通いながら工場に勤務した後、2016年に結婚。翌年に長男、2020年次男誕生。2023年5月に(株)さくらだファームとして法人化し、農業の魅力を次の世代へ伝える様々な活動に取り組んでいる。

故郷を離れて就農・子育て 自分の居場所は自分で作る

─会社では専務を務めるママ
現在社員3人に家族を加えた7人体制で経営しています。シイタケはパパの祖父の代からやっていましたが、安定して生産するためにクリーンルーム付きの菌床製造施設を導入しました。うちのしいたけは大きくて肉厚。クセがないから苦手な人も食べやすいですよ。シイタケの他、米や肉牛も育てています。農家の仕事は縛りがないから髪型や服装なども好きなスタイルでできるし、会社勤めの頃のように気を遣うことが少ないのが良いですね。

─3世帯同居はどうですか?
よく大変そうと言われますが、賑やかな大家族に憧れていたから幸せです。それでも最初は「農家のお嫁さん」のプレッシャーがあったけど、みんなが気遣ってくれるから仕事と子育てのバランスが取りやすくて逆にありがたいです。ただし、自分の気持ちを伝えることは大切。家のなかに自分の『好き』にこだわれる空間はないので、気持ちよく過ごすためにも「ママこういうのは嫌‼ 」と伝えます(笑)。パパには「明日私が居なくなったとしても子ども達が不便しないよう家事を覚えてほしい」と言い続け、今では料理も洗濯も手際よくこなしてくれるようになりました。

─息抜きの時間は?
毎週火曜の夜に吹奏楽教室に通って4年になります。担当はアルトサックス。メンバーの年齢層は幅広いですが、みなさん友達のように接してくれるのが嬉しいんです。知らない土地に嫁いできたけど自分のコミュニティができたから、ひとりぼっちの感覚はなくなりました。それに親の人間関係は子どもにも派生していきますよね。子どもが少ない町だから、私を通して息子達にいろんな人と知り合ってほしい思いもあります。

─わんぱく男児2人の育児
家の周りは重機や水路、野生動物など危ないものだらけ。手が離せない仕事をしている間に何かやらかすのはしょっちゅう。結婚前は保育士を目指していたのですが、理想の育児とかけ離れていて何回泣いたかわからないです。今は割り切って、プロである園の先生に任せています。ここは都会じゃないから、マナーや教養はのんびりと教えていける。都会でぴりぴりするママ達には「地方はいいよ~」と声を大にして言いたいですね。田舎は気楽だよと(笑)。

─今後の夢は?
自分達が楽しんでいる姿を発信して次の世代に興味を持ってもらい、働き口として「農業もいいな」と思ってもらうこと。祖父母世代は近所の農家と協力し合っていたけど、自分達には仲間がいない。だったら作ろうと始めたのが「WAKODO」。他にも女性生産者3人で構成する「Monzla Skasyells(もんずら すかしぇーるず)」でのPR活動、観光客や子どもを対象とした農業体験「グリーン・ツーリズム」の受け入れもしています。うちでも雇用を増やして若い人が入ってくれば、地元が潤う。若い人達が岩手に新しい風をどんどん吹かせてくれれば、子ども達の将来のためにも心強いですよね。子ども達が親になった頃に子育てしやすい町になっているように、貢献できたらと思っています。


WAKODO

岩手の農業を盛り上げる! ファーマーズチーム「WAKODO(わこうど)」

県内各地の若手生産者を集めて大河さんが結成。マルシェへ出店したり情報交換の機会として飲み会やBBQをしたりして楽しく農業を発信している。

子育てモットー!

沙羅ママの子育てモットー!

"本物"に触れる経験!!

子ども達が興味をもったものには、できるだけ触れさせてあげたいと思っています。例えば料理なら、おもちゃではなく本物の包丁を使って本当に切らせてあげる。飼っている牛に触りたければ、汚れるし危ないけどそれで好きになってくれるならOK。いつも側で見ていてあげられないから「危ない・痛い・怖い」を経験から身につけて、いざという時に自分の身は自分で守って欲しい思いもあります。見ていてハラハラする時もあるけど、上手にできると本人も自信がつくみたいです。