fam[ファム] 2025年冬号


母になって磨かれた、しなやかな強さ
どんな経験も学びと受け止め、
前へと進む力に変えていく
女性では珍しい「アリーナMC」として、
ビッグブルズのホームゲーム会場を熱く盛り上げるママ。
常に前向きに前進するための秘訣を聞いた。
家族のプロフィール
観客を熱狂させる「声」
─アリーナMCとは?
得点した選手の名前や試合の状況を伝えながら観客を盛り上げ、一緒に応援する役割です。フリーアナウンサーになって初めていただいたお仕事で、今年で6シーズン目になります。実はバスケ未経験で、最初はルールすらわからず、1年目は本当に苦戦しました。今では笑い話ですが、試合中に外国人選手の顔と名前が一致せず、別の選手の名前を呼んでしまったこともあります(笑)。
─MCと他のお仕事のときとでは印象が変わりますね。
一般的にMCを務めるのは低音でいわゆる“イケボ”の男性が多く、普通の女性の声だとフィットしにくいんです。そこで、いろんなチームの試合や動画を見て研究し、自分の声質でもしっくりくる声色やトーンを探りました。年々その感覚がつかめてきて、今では音楽と自分の声のタイミングがばっちり合い、会場が一体となって盛り上がる瞬間がたまらないですね。これはラジオでもテレビでもなく、“生”だからこそ味わえる醍醐味です。4シーズン目の時は息子を妊娠していたのですが、熱くなってくると胎動もすごくて。いい胎教だなと思いながらやっていました(笑)。
様々な起伏を乗り越えてたどり着いた心のあり方
─子育てを通して感じた変化
実は、不妊治療も含めた妊活期間が3〜4年ほどあって。もっと長く取り組まれている方もいらっしゃると思いますが、なかなかうまくいかず悩む日々が続いたんです。だからこそ今こうして命を授かり、「私を選んできてくれた」と感じると本当に感慨深いものがあります。子育ては大変ですが原点がそこなので、 “ありがたい経験”として受け止められていますね。また、以前は感情の起伏に振り回されて疲れてしまうことも多かったのですが、今は波を大きくせず、穏やかなリズムで過ごすことが一番心地よくいられると実感しています。産後は慣れないことも多く、気持ちが不安定になりやすかったのですが、そんな時期を一緒に乗り越えてくれた夫には、感謝の思いが大きいです。今はむしろそうした一つひとつの段階を経て絆がより深まったからこそ、お互いがそれぞれの最前線で働きながら協力し合えているのだと思います。
─仕事への向き合い方
若い頃のように無限に仕事へ時間を費やすことは難しいので、今は限られた時間の中でどう力を発揮できるかを意識しています。母になりいろいろな出来事を乗り越えてきたなかで、「もう必要以上に自分を飾らなくても大丈夫」という自負が生まれたのも大きいですね。MCの仕事でも、産後はより自信をもって言葉を届けられるようになった気がします。「母は強し」というのはそういうことなんでしょうね。今後挑戦したいこととしては、たくさんの子ども達に「自分の言葉で伝えることの楽しさ」を伝えていくこと。自分自身が経験を通して学んだように、気持ちを正直に丁寧に伝えられる力を育むことができたなら、人と人がもっとやさしくつながり、笑顔で過ごせる社会になるのではないかと感じています。
子どもと絵本を読む大切なひととき

出産前から用意していた、絵本専用の本棚。絵本セラピストの資格も持ち、大人向けワークショップや教育機関での読み聞かせなども行なっている。























ママ:二宮真佑子さん・36歳・フリーアナウンサー・神奈川県横浜市出身。
パパ:亮さん・40歳・医師・盛岡市出身、長男2歳の3人家族。
真佑子さんは大学卒業後、横浜市内の小学校教員を経て2015年にNHK盛岡放送局へ入局。2020年より岩手ビッグブルズアリーナMCを務め、2021年にフリーに転向してからはテレビやラジオで幅広く活動している。今後は子ども達の“伝える力”を育む講座にも力を入れていく予定。