fam[ファム] 2024年冬号
ママに寄り添うサービスを通して
守りたいのは、子ども達の体と命。
辛い体験も語り部として伝えていく
産前産後ヘルパー、親子食堂、性教育など、ママと子を
サポートするNPOを運営するパワフルなママ。
4人を育てながら頑張り続けるモチベーションを聞いた。
家族のプロフィール
望まない妊娠や虐待を防ぐために
─これまでの経緯と今の仕事内容を教えてください
保育園に勤めていた時に、今の保育で当たり前とされていることに疑問を感じたんです。子どもがやりたいことにとことん熱中できる環境を作ってあげたいと考えていたところ、学童クラブ立ち上げの機会をいただき、創設から施設長を務めました。そこで感じたのが、ひとり親の「孤育て」にまつわる問題の多さです。お母さん達から相談を受けたりいろいろな子ども達と出会う中で、子どもを取り巻く環境がなにかまずいのはわかるのに、学童のスタッフは生活の中までは入れないんですよね。そこで「この子達は私が守ってあげないと」と思ったのがきっかけです。子どもの命を守るために、家事代行やベビーシッター派遣を通してお母さんのフォローをするというのが私達のミッションです。
─自身も性暴力サバイバー
中学時代に性被害に遭ったときは知識がありませんでした。困った時にどこに助けを求めたらいいのか、どんな選択肢があるのか、今学校で教えている性教育よりももっと具体的な体の守り方を教えていく必要があると感じています。私は成人後に中絶も経験しています。避妊を相手任せにしてしまった自分をすごく責めました。ネガティブな経験ですが、実体験が一番確かな情報。こんな辛い思いを誰も繰り返さないように伝えていくことが、私ができることだと思っています。
─仕事と子育てのバランスは?
私の中で一番難しい課題。ここ数年の記憶がないです(笑)。できるだけ次の日に仕事を持ち越さず、お迎え時にはママモードに切り替えますね。4人から数分おきに「ママ!」と呼ばれ限界を感じることもありますが、嫌なことがあっても抱っこをすると一人じゃないんだなとホッとして幸せを感じます。以前は家事に時間があまり取れませんでしたが、この仕事を始めてから家事能力がUPして、プライベートでも効率よく動けるようになったのは嬉しい変化。最近はタサン志麻さん並みに料理も上達したんですよ! 子育てが辛い時は私達を活用してもらい、子どもと向き合う時間や心の整理の時間をぜひ持って欲しいです。
休日は家族でキャンプへ!おすすめは三陸海岸沿いのキャンプ場
子どもが大きくなっても、キャンプなら準備や調理、自然散策、焚き火など、一緒に過ごす時間を多く持てるのが魅力。
ママ:天沼(あまぬま)ちさとさん・38歳。
パパ:光利(みつとし)さん・39歳 ともに盛岡市出身・会社役員。
長男12歳、次男10歳、長女6歳、三男4歳の6人家族。
ちさとさんは中学2年のとき横浜に引っ越し都内で就職。23歳で盛岡に戻り2010年に結婚。保育園副園長や学童クラブ施設長を経て、2023年12月にNPO法人「RINDO Blue Japan」を設立。ママをサポートする「MAMATREE」、子ども食堂「ももも食堂」、性教育なども行なっている。