笑顔でつながる家族の輪(fam[ファム] 2024年秋号)

fam[ファム] 2024年秋号

家族の輪

本誌創刊号でインタビューしたハクセルファミリーが、10年ぶりに再登場!男の子4人の子育てを振り返りながら、実践している教育についても話を聞いた。

ハクセルファミリー2014
自宅の庭で撮影。長男(右端)7歳、次男(真ん中)6歳、三男(左端)4歳、四男(ママに抱っこ)1歳
ハクセルファミリー2024
10年で、こんなに大きくなった4兄弟。留学や寮生活もあり、家族全員が久しぶりに揃って撮影

「成長とともにラクになるよ」と言われた
言葉は本当だった! と、実感。一人ひとり
頼もしく成長してくれています

家族のプロフィール

パパ:ジョー・ハクセルさん(49歳)アメリカ出身。
ママ:美穂子さん(49歳)雫石町出身。

長男17歳(高校2年生)、次男16歳(高校1年生)、三男14歳(中学3年生)、四男11歳(小学6年生)の6人家族。ジョーさんはアメリカの教員免許を持つ英会話講師。夫婦で「こかげ英会話」を経営。美穂子さんは、2015年から岩手県議会議員を務めている。

 7歳・6歳・4歳・1歳だった当時から早10年

─この10年の子育てを振り返って、率直な感想は?
 10年前の子育てモットーは「修行」(笑)。当時、「今は大変でも、成長とともにラクになるよ」と周囲から言われた言葉は本当だったと、かみしめています。あの頃は毎日、疲労困憊でしたから。今、小さい子を子育て中の皆さんに、同じ言葉をかけてあげたい気持ちです。

─これまで続けてきたことで、仕事と子育ての両立に役立っていることはありますか?
 毎朝のミーティングですかね。早起きの得意な夫が淹れてくれたコーヒーを飲みながら、一日の行動予定を確認し合うミーティングで我が家の朝は始まります。以前は、子ども達を起こさないようヒソヒソ声だった夫婦2人のミーティングが、次第に子ども達を交えた家族ミーティングになりました。習い事の送迎に仕事の時間を融通するにも、夫婦だけでなく親子間の情報共有と協力が不可欠。家事分担をしている訳ではないけれど、ミーティングで察するのか、子ども達が家のことをやってくれるようにもなってきました。一人ひとりができることをする、という風に育ってきてくれています。というか、そうでないと家の中が回りません!

 好きなことを見つけてモチベーションUP

─将来のことを、よく質問するそうですね。
 「将来は何をしたい?」「何になりたい?」と、子ども達が小さいうちから、よく質問しています。小学生くらいまではコロコロ変わるし、それでOK。「〇〇になりたい」「〇〇が好き」という思いがあればそれが身近な目標になり、勉強でもスポーツでも頑張るモチベーションになりますよね。そうして、伸びる時期にしっかり努力することで一層成長できるし、必ずしも結果が思い描いたものではなかったり、挫折感を味わったとしても、その経験やプロセスは、その後の人生で役に立つはずです。だから、努力は決して無駄にならない。今、長男は地政学に興味を持ち、大学進学を目指しています。次男の夢は、プロのバスケットボール選手。ライバルの多い環境に自ら身を置く決断をして、他県のバスケ強豪校に進学しました。

─海外留学は、教育方針のひとつですか?
 日本とアメリカという二つの国のアイデンティティーを持って生まれてきている子ども達。将来どんな職業に就いて、どこで暮らすかは本人次第ですが、両方の国をきちんと理解して伝えられる人間になれたら、人や文化をつなぐなど、あらゆる場面で役に立つこともできるでしょう。そのために、家庭内では英語を使い、中学一年生でアメリカに留学させようと決めていました。テキサス州にいる夫の父親にお願いして長男が半年間アメリカへ留学した際、英語が上達しただけでなく、良い経験が出来たんだなという成長を感じられました。それで次男も中学一年生で留学させましたがコロナ禍になってしまい、三男の時は悩みました。義父にお願いできる状況ではないものの、アメリカ留学はさせたい。そこで、夫が三男に同行するしかないという結論に至り、場所はアメリカ本土とはカナダを挟んで飛び地になっているアラスカ州を選びました。家族にとっては予定外の連続でしたが、それでも留学させて良かったと思っています。
 三男は勉強もスポーツも普通にこなしますが、よく出来るお兄ちゃん達と比べてしまい、あまり自分に自信が持てないようでした。そんな中、留学先で賞を貰ったりして自信がついたのか、積極性が出てきたんです。しかも帰国後、その変化に気づいて褒めてくれた方がいて。兄弟のことも知っている方が、お兄ちゃんと比べることなく自分を見てくれたのが嬉しかったようで、今は目を輝かせて、スポーツも勉強も以前より熱中しています。

ハクセルファミリー 海外留学

思春期に入ると、親も新たな悩みに直面

─親との会話が減る時期、コミュニケーションのコツは?
 思春期に会話が減っても、まずは親がめげないこと! 中学生頃の反抗期を過ぎると、また会話してくれるようになるのを長男で経験し、そう思うようになりました。その間は放っておく訳ではなく、あの手この手でコミュニケーション。15歳までは(ハイタッチ、撫でるなどの)アタッチメントが良いと聞き、今は家族で意識的にハイタッチやハグをしています。けれどこの時期、会話が減ってもケンカは減らない…。兄弟喧嘩がひどい時は、私が個々にフォローすることもあります。上の子には「そんな言い方、弟の立場なら腹が立つよ。考えてみて」とか、弟には「アナタが気づかないところで、お兄ちゃんが我慢していることもあるんだから」と。夫は私より客観的に見ていて、「他人と意見や気持ちがぶつかったとしても話し合いで仲直りできるということを、兄弟喧嘩からの一連の流れで学んでいる。これは人生の訓練なんだ」と言います。確かに、小学生時期も中学生時期もケンカしながら、話し合い・許し合いながら乗り越えてきた感じ。人間は完璧ではないからこそ、許し合うことが必要ですよね。夫婦喧嘩でも(笑)。

─スマホは何歳から?
 スマホを持つのは高校生からにしています。中学生ではまだ、あふれる情報の一つひとつが正しいのか、よく考えずに信じてしまう可能性があるし、いちいち親がコントロールするのも無理。だから本人に、もう少し危機管理能力がつく年齢になってからと決めました。スマホに限らずですが、何が正しいのか間違いなのか、その判断のために何を考えるべきか、大人になる前に教えておく必要がありますよね。そこに家庭の役割や、親の責任は大きいと思っています。

─子ども達の成長とともに、夫婦として何か変化は?
 結婚当初は20年後なんて想像できませんでしたが、あっという間。夫婦の変化というより、ここ数年で家族のフェーズが変わった印象です。4兄弟で順に使ってきた子ども用のものが、不要になってきました。これから夫婦で断捨離をして、家の中を大人の雰囲気にしたいです。私自身は、更年期で体調の変化を感じ始めました。子育て優先で自分の心身を顧みる余裕がなかった分、これからはメンテナンスの時期だと思い、最近ジョギングをしています。末永く私達夫婦が元気でいることが子ども達に迷惑をかけないことにつながるし、将来、子ども達自身の家族が増える時にはサポートもしたいので、それを楽しみに頑張ります。 

ハクセルファミリー
ハクセルファミリー 10年の家族年表