笑顔でつながる家族の輪(fam[ファム] 2022年秋号)

樋口さん親子
家族の輪

親子連れが電車に手を振っているのが
見えると嬉しくて、こちらも
出来る限り手を振り返します!!

岩手県北部地域の鉄道交通をになうIGRいわて銀河鉄道で
乗客の安全を第一に乗務する運転士のパパにインタビュー。
仕事について語り、家庭の話題ではパパの顔ものぞかせた。

鉄道会社で働くことが、子どもの頃からの夢だった

─車掌に憧れて入社し、さらに運転士を目指した理由は?
 IGRは盛岡駅から青い森鉄道の八戸駅(青森県)まで直通運転をしていますが、車掌の乗務区間は盛岡駅~金田一温泉駅(二戸市)まで。そこから八戸駅までは運転士一人(ワンマン)の乗務です。運転士になると、電車の運転はもちろん、運行する全区間に乗務することで仕事の幅が広がります。当社の場合、車掌を経験しなければ運転士養成への選抜試験も受けられません。私は入社後、憧れだった車掌の仕事につくことができました。車掌を3年間経験して運転士に挑戦したいと思うようになり、社内の選抜試験を受けました。

─運転士になるまでのプロセスを教えてください。
 選抜試験を通過して、養成に入ります。約3ヵ月間の座学を経て最初の国家試験(適性検査・筆記)を受験。それに合格した後、先生役の運転士の指導のもと約3ヵ月間運転実技を学び、2つ目の国家試験(実技)を受けます。これに合格すると国土交通省東北運輸局から免許が交付されますが、さらに約3ヵ月間先生役の運転士の指導のもと乗務し、社内試験である見極め審査に合格して、晴れて一人で乗務が可能となります。養成から独り立ちするまで、早くても9ヵ月間程かかります。

─運転士としての醍醐味や、嬉しいことは何ですか?
 私が感じる醍醐味は、車両を停止する際のブレーキ。電車のブレーキは7段階あり、通常使用するのは3段階まで。想定通りのブレーキ操作で、駅での停止位置も時刻もピタッと決まると気持ちいい!嬉しいのは、沿線で電車に手を振る親子連れなどを見かけた時ですね。鉄道は地域に身近な存在でありたいし、子どもたちにとっても電車が身近であって欲しいと思います。

仕事でも、子育てでも、 家族や周囲と協力&感謝

─勤務はシフト制ですか?
 当社の運転士のシフトは、10パターンあります。私は車掌で乗務することもあるので、プラス車掌のシフトが3パターン。運行時間は、時刻表上は分単位ですが、現場では15秒単位の設定で、始発の乗務では夜勤になります。私と妻は、子どもがいつ何をしたか記録できる子育てアプリを共有設定し、夜勤の時は、これで娘の様子を確認しています。

─仕事が不規則な中、家事・育児への協力は?
 日勤で早めに帰宅した時は私が娘をお風呂に入れたり、妻が娘を寝かしつけている間に洗い物を手伝ったり、翌日がゴミの日なら家中のゴミ集めをするようにしています。シフトによっては24時間自宅を離れている日もあり、妻が育児休暇中とはいえ、家事・育児を一人でやってくれていることに感謝しています。育休はこの秋で終わり、娘を保育園に預けて、妻は復職の予定。今よりも大変なことが出てくると思いますが、子育て中の同僚らとお互いに協力し合い、周囲の助けに感謝しながら、〝持ちつ持たれつ〟でやっていければと思います。

家族の輪

撮り鉄が趣味のひとつ!

子どもの頃から鉄道好きのパパ。臨時列車の撮影に熱中している、休日の一コマ。
創太パパの一日

家族のプロフィール

パパ:樋口創太(ひぐちそうた)さん・28歳・IGRいわて銀河鉄道(株)運転士・青森県出身
ママ:有咲(ありさ)さん・29歳・IGRいわて銀河鉄道(株)総務部(育児休暇中)・岩手県出身
長女・9ヵ月の3人家族。

創太さんは2014年4月、同社に入社。駅員や車掌の業務を経て、2019年 鉄道の運転免許試験である動力車操縦者試験に合格し運転士に。2020年5月、会社の同僚の有咲さんと結婚。2021年10月、長女誕生。