『あんまりすてきだったから』くどうれいんさん 新作絵本を刊行

あんまりすてきだったから

『あんまりすてきだったから』
さく:くどうれいん
え:みやざきひろかず
ほるぷ出版
発行日:2022年6月

2022年6月に刊行された『あんまりすてきだったから』は、岩手県出身・在住の作家くどうれいんさん初の絵本。主人公のこんちゃんが出した手紙をきっかけに、うれしい気持ちがどんどん伝わって…。今回はfam読者向けに、くどうれいんさんから特別コメントが届きました。ページをめくるたびに広がる、みやざきひろかずさんの柔らかな絵とあわせて、優しい時間を親子で共有しよう。

【あらすじ】
歌手のうたごえがあんまりすてきだったから、こんちゃんはお手紙をかきました。こんちゃんの心のこもったお手紙をはこぶゆうびんやさんは、なんだかうれしくなって、くちぶえをふきました。くちぶえをきいたやまめは、なんだかうれしくなって、しぶきをあげてはねました。こんちゃんのうれしい気持ちが、ふしぎとみんなに伝わって…。

くどうれいんさんからfam読者にコメントが届きました!

作品ができたきっかけ(みやざきひとかずさんへのお手紙の話)について教えてください。また、憧れていたみやざきさんとのお仕事はいかがでしたか?

幼いころにみやざきさんのワニくんシリーズを読み、とても気に入っていたわたしに母が手紙を書くことを勧めてくれ、お手紙を出しました。その後、みやざきさんからお返事をいただき、とてもうれしかったんです。それから二十年以上経ち、自分が読者からお手紙をもらう立場になったとき、「あの時お返事をいただいたなぁ」とみやざきさんのことを思い出して、みやさきさんのホームページ宛に「覚えていらっしゃらないと思いますが、お手紙のやりとり、とてもうれしかったです。いつか絵本を一緒に出すことが出来たら」と連絡したところ、「覚えています、ぜひ作りましょう!」とお返事をいただいたんです。
みやざきさんが描いてくださった絵を見るなり、部屋を走り回るくらいうれしかったです。わたしのテキストに、みやざきさんの絵がついていることは、今でも信じられない想いです。

言葉選びやストーリー作りにおいて、創作童話『プンスカジャム』と同じ点や違う点はありますか?

プンスカジャムは高校時代に書いたものの構想を生かして書き上げましたが、今回はみやざきさんに絵を描いてもらうということを前提に、みやざきさんとわたしの間をつないだ「手紙」をモチーフに書くと決めていました。絵を見ながらテキストを調整するという作業は一緒でしたが、今回はプンスカジャムより文字数が少ない分、より絵が物語の説明を担う部分が大きく、このシーンはどんなイメージか、など担当編集の筒井さんとみやざきさんと打ち合わせしながら進めました。
※くどうれいんさんの創作童話『プンスカジャム』インタビュー記事はこちら

―くどうさんにとって、手紙はどんな存在ですか?

どんなに「すごい」と思う人とも一対一で言葉を伝えられるもの。メールやSNSと違って、手紙を書いているとき、手紙を読んでいるときは書いた人と読む人のふたりきりになるような気がします。

最後にfam読者にメッセージをお願いします。

手紙を書くことのうれしさ、そわそわしたきもち。「すてき!」と思った人に、それを言葉にして伝えることの豊かさが届けば幸いです。お子さんには「お手紙を書いてみたい!」、親御さんには「久しぶりに手紙を書こうかな」と思ってもらえたらうれしいです。

くどうれいん プロフィール 
1994年生まれ。岩手県盛岡市出身・在住。作家。著者にエッセイ集『わたしを空腹にしないほうがいい』(BOOKNERD)、『うたうおばけ』(書肆侃侃房)。歌集『水中で口笛』(左右社)。小説『氷柱の声』(講談社)。創作童話『プンスカジャム』(福音館書店)。