笑顔でつながる家族の輪(fam[ファム] 2021年夏号)

高橋一家
家族の輪

愛情をかけて乳牛を育てています。おいしくて良質ないわての牛乳を皆さん、いっぱい飲んでください!

60頭の乳牛を飼育し、毎日約1100kgの生乳を生産。苦労の中にもやりがいを見出し、誇りを持って仕事に取り組みながら、日々子育てにも奮闘する酪農家夫婦にインタビュー

ファッションにも仕事にもポジティブな若手酪農家!

─インパクトのあるドレッドヘアは、パパのこだわり?
パパ:寝グセがつかなくてラクなんです。朝が早い仕事だからラクが一番で、10年位この頭。髪があるうちはこれでいこうと思っていますが、「そろそろヤバいってなったらストップかけて下さい」と、スタイリストさんにお願いしています。

─酪農家の長男。元々後を継ぐつもりでしたか?
パパ:頭の片隅にはありました。酪農を継ぐ前に運送会社に勤めていて、牧場に飼料を運ぶ仕事をしていたんですが、そこで会う酪農家の人たちがカッコよくて。仕事ぶりも生き方も。この先輩方に憧れて決意した感じですかね。でも、完全に酪農をナメてました。親を見て知ってたつもりが、やってみたら思ってた以上に大変です。

─ママも積極的に作業を?
ママ:結婚当初はパートをしていましたが、妊娠中のつわりがひどくて退職。出産後、酪農の仕事を手伝うために、小型特殊自動車の免許をとりました。2人でやった方が少しでも早く仕事が終わりますよね。そうすれば、子どもと過ごす時間や、夫が体を休める時間を少しでも増やせるので。

岩手で生産した牛乳をもっと飲んでもらいたい

─酪農のやりがいとは?
パパ:こちらがやった分、牛が応えてくれるんです。努力を惜しまず世話していると、乳量が増えたり、人工授精から出産までがスムーズに進んだり。その成果として、岩手県乳質改善大賞(※1)を2年連続受賞できたんだと思います。それに牛乳は、大人も子どもも多くの人が日常的に飲みますよね。それを担う酪農は、誇らしい仕事だと思います。

─とは言え、休日も関係ない仕事。子育てとのバランスは?
パパ:子どもにも仕事にも、常にスイッチは両方オン。子育てはもちろん、生き物相手の仕事にオフは無いですから。
ママ:子どもの発熱時は、牛舎内の目が届く部屋でソファーに寝かせるか、私の実家に預けて仕事。本当はそばについていてあげたい。仕事を代わってくれる人がいたらいいんですが…。そんな中で、特に保育園の先生にはサポートしてもらっていると感じます。子育てで分からないことを教えてもらったりもして、感謝しています。

─仕事も子育ても常にオン。ストレス解消は何ですか?
ママ:酪農ヘルパーさん(※2)が来てくれる日が月に一度あり、私と子どもたちは私の実家へ遊びに行きます。息子たちはおばあちゃんが大好きで、この日が楽しみ。夫も仕事後に合流し、実家に4人でお泊まりします。
パパ:以前は晩酌していましたが、やめました。飲むと翌朝の体が重くて。それに、酒を飲むより息子たちと遊びたい。毎日可愛いんです。笑顔も寝顔も。

─将来の夢を聞かせて下さい。
パパ:牧場の規模拡大! 飼育頭数や生産乳量を増やしていくのが目標です。皆さん、もっといわての牛乳を飲んで下さいね! あと、将来成長した息子たちが、自分たちが親で良かったと思ってくれたら嬉しい。そんな存在になれるよう夫婦で頑張ります。

家族のプロフィール

パパ:高橋潤生(たかはしじゅんき)さん・34
ママ:瑛里(えり)さん・29歳・共に盛岡市出身・酪農家、長男・5歳、次男3歳、潤生さんの両親、祖母、弟の8人家族。潤生さんは高校を卒業後、就職。会社員などを経て2015年に父親から牧場を引き継ぎ、現在はホルスタイン60頭を飼育。毎日約1,100kgの生乳を生産している。岩手県乳質改善大賞(※1)を2019年度から2年連続受賞。2015年、盛岡市内で歯科助手をしていた瑛里さんと結婚。2015年10月長男誕生、2017年7月次男誕生。